この記事では、おすすめの資格としてよく見かけるものの中から、40代以上でも食べていけるような資格を中心にご紹介します。
資格取得後に実務経験がなくても何とかなるものを基準に選びました。
電気工事士2種、管理業務主任者、宅地建物取引士、行政書士、社会保険労務士、介護福祉士、保育士、登録販売者、中小企業診断士など。
40代や50代で未経験でも、実務経験を積みながらできる仕事はあります。
定年後は、生活の基盤があれば、収入よりもやりがいのある方が楽しいですね。
また、一生食える資格やコスパのよい資格、あまり意味なさそうな資格もまとめました。
食える資格(40代向け)
食える資格としてよく紹介されているものの中から、資格取得後に実務経験がなくても何とかなるものを基準にご紹介します。
40代向けは、電気工事士2種、管理業務主任者、宅地建物取引士、行政書士、社会保険労務士の5つです。
電気工事士2種
電気工事士は、ビルや商店や一般住宅などの電気設備の工事を行う国家資格です。
資格取得のための、学歴や実務経験や年齢制限はとくになく誰でも受験できます。
試験の難易度は低めで、未経験でも独学が可能です。
独学が苦手な場合は、通信講座があります。
まずは第2種を取得して、実務経験を3年以上積んで第1種を受験するという流れになります。
電気工事の職種は幅が広いので、第2種でも仕事はありますし40代OKの求人も多いです。
現場で経験を積みながら、手に職をつけていくことができる仕事です。
ただ、電気工事の会社ではパワハラが当たり前の業界のようです…。
先日、ハローワークの職員さんに聞いたら「どこの会社も新人を育てる気がないからやめた方がいいですよ」と教えてくれました。
管理業務主任者
管理業務主任者は、マンションの管理組合から委託を受けて、マンションの管理をする国家資格です。
住民への対応や雑務が多いので、体力よりも人生経験が豊富な中高年向きとも言えます。
(マンション住民の対応がきつくて退職する人も多く、人材不足という噂もあります)
資格取得のための、学歴や実務経験や年齢制限はとくになく誰でも受験できます。
試験の難易度はやや高く、独学するより通信講座を受講して受験する方が確実です。
管理業務主任者には「設置義務」と「独占業務」があるので、安定した求人があります。
- 設置義務…会社が資格者を確保する義務
- 独占業務…資格者だけが行える業務
就職先は、マンションの管理会社や不動産会社になります。
今後も、建物の老朽化や住民の高齢化などに対応できる人材が必要になってきます。
最近は、女性の採用も増えて40代女性の求人も少なくありません。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、独占業務として宅地建物取引の契約締結時の説明や、書類に記名・押印などを行う国家資格です。
資格取得のための制限はとくになく、誰でも受験できるので挑戦する40代が多いです。
試験の難易度は高く、独学するより最低通信講座で勉強する方が良いでしょう。
就職先は、不動産業や金融業などで採用されやすいです。
理想としては、宅建士の資格と営業スキルがあると1番強いですよ。
実際には、契約締結時の説明はどの資格者でもよく、売り上げを伸ばす社員が必要とされます。
少数派ですが、営業成績を上げてバリバリ働く女性の宅建士もいます。
不動産業の景況はよく変動しますが、住宅の需要そのものに大きな変化はありません。
行政書士
行政書士は、官公署に提出する書類の作成や、提出手続きの代理といった独占業務を行う国家資格です。
資格取得のための制限はとくになく、誰でも受験できるので40代に人気。
試験の難易度は高く、独学するより通信講座や予備校で勉強する方が良いでしょう。
就職先は、行政書士事務所などに勤務して仕事を覚えていきます。
能力主義の世界なので、まずは実務経験を積むことが大事です。
資格取得後や独立後も、営業と集客の努力しだいで大きく左右されます。
資格を取得しただけでは食べていけない世界です。
最近は、女性の行政書士へのニーズが高まってきています。
独立開業ができれば、自分のペースで家庭と仕事の両立も可能。
また、行政書士の仕事で単純な書類作成の部分は、AIに取って代わられる可能性が高いです。
しかし他方では、新しい法律の施行や法改正が行われるたびに、行政書士の業務が広がるという特徴もあります。
社会保険労務士
社会保険労務士は、独占業務として各種労働保険や社会保険に関する書類作成や、手続きの代行を行う国家資格です。
受験するためには「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つうち、どれか1つを満たしている必要があります。
試験の難易度はかなり高いですが、40代に人気の資格。
勉強方法は、独学するより通信講座や予備校で勉強する方が良いでしょう。
就職先は、一般の求人サイトではなく、士業向けの転職サイトに多数あります。
しかし、40代OKの求人のほとんどは、実務経験ありが前提になります。
まずは、社労士協会が募集するアルバイトや、ハローワークなどで行政協力の形で働けば実務経験を積むことができます。
独立開業する場合は、それまでに築いてきた人脈や、企業の総務部の人とのつながりなどがとても大事。
社労士の仕事で単純な書類作成の部分は、AIに取って代わられる可能性が高いです。
他の部分はAIに代替できないので、今後も人の手でサポートすることが必要とされます。
社労士は、独立開業や正社員だけでなく、パートや派遣社員などの働き方もあり、女性もたくさん活躍しています。
食える資格(50代向け)
50代向けには、食える資格として介護福祉士、保育士、登録販売者、中小企業診断士をご紹介します。
介護福祉士
介護福祉士は、老人保健施設やデイサービスセンターなどの利用者さんに、生活の支援や身体の介護を行う国家資格です。
未経験の場合は、介護の業務に従事しながら資格を取得することが一般的なルートです。
高齢の利用者さんに寄り添うときは、近い年齢のほうが理解しやすいこともいろいろありますよ。
介護業界の求人には、条件の項目に「年齢不問」「資格取得支援」「未経験可」などが多いです。
まずは、仕事をしながら「介護職員初任者研修」と「実務者研修」を受講してから「介護福祉士」を受験します。
このために必要な期間は、3年以上(実働日数540日以上)です。
試験の難易度は低めで、50代からでもまだ遅くはありません。
ただ、腰を痛めやすい仕事なので、体力に不安のある方にはおすすめできません。
介護福祉士の知人が何人もいましたが、30代のうちに全員が腰を悪くして辞めているからです。
介護福祉士になるなら、腰を痛めない体の使い方を習得するなど、自分へのケアも重要だと思っています。
保育士
保育士は、児童の保育や児童の保護者に対して保育の指導を行う国家資格です。
資格を取得するためには、指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校など)を卒業するか、保育士試験に合格するかのどちらかです。
最終学歴が高卒で未経験の場合は、実務経験2年以上(勤務時間数2,880時間以上)などの条件を満たせば受験することができます。
最終学歴が中卒で未経験の場合は、実務経験5年以上(勤務時間数7,200時間以上)が必要になります。
受験年齢の上限はとくになく、40代~50代の女性に人気の資格です。
試験の難易度は高いので、独学するより通信講座で勉強する方が良いでしょう。
保育士の求人には、条件の項目に「年齢不問」「未経験可」などが多いです。
また、保護者目線からすると、50代は頼りがいがありそうですね。
少子化であまり将来性のない仕事のため、若い人の場合は一生食べてくのは難しいと思いますが、50代ならありでしょう。
私の知り合いには、70代で保育園で保育士さんの補助的なお仕事をしている方がいます。
勤務条件は地域にもよると思いますが、保育士の資格を持っているため、時給が良いそうです。
短時間勤務でも、時給が良ければ年金と合わせて十分生活できます。
子供に癒されたり、パワーをもらったりして、生き生きと毎日を過ごせるでしょう。
登録販売者
登録販売者は、一般用医薬品(第2類・第3類)の販売をします。
中高年女性に人気の資格で、取得のための学歴や実務経験や年齢制限はなく、誰でも受験できます。
試験の難易度は高くありませんが、独学するより通信講座を受講して受験する方が確実です。
就職先は、薬局やドラッグストアのほか、コンビニやホームセンターなどがあります。
試験の合格と2年以上の実務経験を経て、正式な登録販売者になります。
法改正により、登録販売者は一般医薬品を扱えるようになりました。
そのため、薬剤師よりコストがかからない登録販売者のほうに、需要が高まっていますよ。
なお、文部科学省の「国家資格一覧」の中に登録販売者はありません。
ただし、総務省の「国の資格制度一覧」には載っています。
したがって、登録販売者は国家資格ではなく、国に認められた公的資格であると言えます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、企業の経営状態を診断・分析して改善するためのアドバイスを行う国家資格です。
独占業務はありませんが、AIに取って代わられる可能性が低いとされています。
資格取得のための制限はとくになく、誰でも受験できます。
試験の難易度はかなり高いですが、主に30代~50代に人気の資格。
勉強方法は、独学するより通信講座や予備校で勉強する方が良いでしょう。
ほとんどの資格と同じように、取得しただけで実務経験がなければ何もできません。
そのために実務補修というものがあり、試験合格後に指導員(先輩診断士)の指導を受けることができます。
中小企業診断士に独占業務はなく、だからこそ競合せずに横のつながりが大事になります。
そこが他の士業と違い、様々な仕事のやり方があるということですね。
人材育成や起業などに特化したコンサルタントとして活躍したり、セミナー講師業や商工会議所から受注できる仕事などです。
今までの実績や人脈や知識を、活かすことができます。
食える資格(定年後)
生活の基盤があれば、定年後の場合は、収入のことよりもやりがいのある方が楽しいでしょう。
日本語教師
日本語教師は、日本語を母国語としない人に日本語や日本の文化を教えます。
資格取得のための方法は、「日本語教師養成講座420時間コースを修了」「日本語教育能力検定に合格」「大学・大学院の日本語教育学科を専攻又は副専攻で修了」の3つがあります。
現在は民間資格ですが、令和6年度から国家資格になる予定です。
資格取得後は、非常勤講師から始まり3~6年くらいで常勤講師になります。
しかし、日本語教師のほとんどが非常勤やボランティアばかりで、常勤になれるのは稀です。
全体としては人材不足ですが、常勤の枠が飽和状態になっています。
非常勤はアルバイト程度の収入なので、続けていくことが難しいです。
定年後に落ち着いて取り組める人や、時間をつくれる主婦に向いています。
教えることや、海外の人と接することが好きな人には楽しいですよ。
昭和の頃のアニメやジブリを海外で見て育った人が、日本に憧れてやって来るパターンも多いそうです。
そういう意味では、昭和世代にピッタリかもしれませんね。
一生食べていける資格はある?
一生食える資格として、司法書士、税理士、公認会計士をご紹介します。
一生食える資格は、まず需要があり、難易度や専門性や認知度が高いものになります。
三大国家資格と言われているのが、医師、弁護士、公認会計士。
しかし…、医師と公認会計士は別格のようですが、最近の弁護士は食えない人がいるようです。
司法書士
司法書士は、独占業務として登記業務やその際の書類作成業務や訴訟代理業務などを行う国家資格です。
資格取得のための、学歴や実務経験や年齢制限はとくになく、誰でも受験できます。
試験の難易度はかなり難関。
独学するより、通信講座や予備校で学習して受験する方が確実です。
就職先は、司法書士事務所や法律事務所になります。
司法書士の受験勉強は、実務に直結しているため、合格後すぐに独立できることが特徴。
そのため、40代未経験でも就職することができます。
また、司法書士の仕事で簡単な行政手続きであれば、AIに取って代わられる可能性が高いです。
しかし、単純な仕事をAIに任せられれば、特にコミュニケーションが必要な業務に時間を使えるようになります。
相続・遺言業務や債務整理など、その他の多くの仕事はAIにはできません。
税理士
税理士は、「税務代理」「税務書類作成」「税務相談」の3つの独占業務を行う国家資格です。
受験するためには「学識条件」「食歴条件」「資格条件」などのうち、どれか1つを満たしている必要があります。
試験の難易度は、かなり難関です。
独学するより、通信講座や予備校で学習して受験する方が確実でしょう。
就職先は、税理士事務所や会計事務所などになり、ここで実務経験を積んでいきます。
現在は、税理士の高齢化が進み、20~30代の試験合格者の需要が高まっていますよ。
独立開業すれば定年はありませんし、他にも活躍できる場があります。
一般企業や金融機関などは、税理士と顧問契約を結ぶよりも社員として雇用したいからです。
また、税理士の仕事で事務的な作業の部分は、AIに取って代わられる可能性が高いです。
しかし、AIに事務的業務を任せることで、かえって顧客に寄り添う業務を行うことができます。
公認会計士
公認会計士は、独占業務として企業の財務状況をチェックする監査業務を行う国家資格です。
資格取得のための制限はとくになく、誰でも受験できます。
試験の難易度は最難関!
予備校・通信講座などでの学習が基本で、独学での合格は無理でしょう。
就職先は、監査法人・コンサルティング会社・会計事務所・一般企業などです。
現在は、新卒や第二新卒の合格者のほぼ全員が、内定を取得しています。
30~40代の場合は、資格取得者は一般企業の経理部などへ転職する人が多く、経理関連の実務経験があればかなり有利です。
独立開業すれば定年はありませんが、ほぼ全員が就職できるから無理に独立しなくても食べていくことができます。
また、公認会計士の仕事で単純な書類作成の部分は、AIに取って代わられる可能性が高いです。
しかし、これは仕事を奪われるどころか単純作業がなくなるので、AIができない部分の仕事の質を高めることにつながるでしょう。
コスパ最強の食える資格
コスパ最強の食える資格として、試験の難易度に対して資格取得後の年収を考えたUS CPA(米国公認会計士)をご紹介します。
US CPA(米国公認会計士)
US CPAは米国各州が認定する公認会計士資格で、英語で会計実務を行うアメリカの国家資格です。
受験するためには、「学位要件」「単位要件」の2つを満たす必要がありますが、州によって違う部分があります。
日本人は東京か大阪で受験可能ですが、身分証明書として「パスポート」が必須です。
英語ができれば、試験の難易度は日本の公認会計士よりも低いです。
勉強方法は、予備校を利用すれば日本語教材が分かりやすく合格への近道になります。
就職先は、監査法人や会計事務所や一般事業会社などで、未経験可の求人も多いです。
監査法人に就職した場合は、日本の公認会計士の年収に近いといわれています。
つまり、日本の公認会計士より試験の難易度は低くても、同じくらいの年収になりコスパの良い資格ですね。
あまり意味のない資格はある?
今回調べていて、意味がなさそうな資格や、役に立たなさそうな資格もありました。
食べていける資格、という点で見て、あまり関係ない資格もありました。
特に、40歳以上で考えた時に難しいもの含め、いくつかご紹介します。
危険物取扱者、ボイラー技士
危険物取扱者やボイラー技士は、この資格があるから就職できるのか、この資格は本当に必要なのかよくわからず…。
求人サイトで求人票も見てみたのですが、ほとんど「あれば尚よし」「両方あると良い」くらいでした。
ファイナンシャルプランニング技能士、キャリアコンサルティング技能士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、社会福祉士、通関士、測量士、簿記
これらの資格は、その業界で働いてきた人が必要で取得する資格のようですね。
そもそも実務経験が大変重要で、畑違いの人は全く関係なさそうな資格です。
医療事務
医療事務は覚えることが多く、若い頃から始めないと難しそうです。
CADオペレーター
CADオペレーターは将来的に需要がなく、あれもこれもできるようにならなければ生き残れない感じでした。
ITパスポート、TOEIC、MOS
これらの資格は、就職に有利になるか昇進に必要になるかで、食えることとは直接関係ない資格です。
ケアマネージャー
知り合いのケアマネージャー(老人保健施設)に聞いたところ、現場で働いてきた人がケアマネになるのが普通なので、外部の人は関係ない資格だそうです。
また、ケアマネのポストはめったに空かないし、産休などで空く時期は職場で何とでもするそうです。
だから、なりたいから資格を取ってなるというものではないでしょう。